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「ヌメ革」


六義RIKUGHI



bespoke classic
Art&ClassiC

「ヌメ革」

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タンニンで鞣された通称「ヌメ革」には「本物」と「偽物(というより制作過程を”時短”した簡易版)」がある。もちろん手間をかけて鞣される「本物のヌメ革」はいまや希少品だ。いや、もう手にはいらなくなっているのかもしれない。「商品」にするには効率も手間代も存在意義も合わないのだろう。
本物の「ヌメ革」というのは「深い」、大げさにいえば「哲学」が存在する。かつて、このヌメ革はそれを選び「制作する者」も、それを選び「使い込む者」にもちょっとした思い入れがあった。ある意味ではこれこそ本来の「革」であるという自負があった。



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「本物の「ヌメ革」は「ピット槽」と呼ばれるタンニン濃度の異なるプールのようなものに数か月、繰り返し漬け込まれて鞣される。「偽物(時短品)」はドラム(タイコと呼ばれる)のなかにタンニン液とともにグルグル回されわずか2日間で市場に出される、、、」


1914年に世界最大のマレット=トランクメーカー、旅行用品店として開店したルイ・ヴイトンの「シャンゼリゼ」の店には、1980年代(1987年にモエ・ヘネシー社と合併する以前)まで19世紀の名残りがまだあった。
客はじかに商品に触ることはできない、壁に設えられた巨大なガラスケース一面に商品は並んでおり、その前に置かれたテーブルに座って店員に「一泊用の鞄と書類ケースをみせてくれ」と頼んではじめて商品は目の前に出てくる。当時、ヨーロッパの昔からの高級店はみなこのやり方だった。
その本店にはときおりモノグラムと同型で赤ん坊の肌のような淡いピンクのヌメ革の鞄が並べられていた。
店員にそのことを尋ねると、「良い革が入ったときだけ制作するんです。植物で鞣されているんデスよ。特別注文も承っております。使い込めばどんどん色が濃くなってたいへん美しく変わっていきます。」と誇らしげに答えた。

手間ひまをかけてタンニンに漬け込まれた「皮」は繊維が引き締まって強靭な「革」となる。
ピンク色の肌は陽光を吸収して深く濃厚な光沢をみせはじめる。ヌメ革の鞄は千あれば千の表情を持つ。それぞれがそれぞれの「時」を記憶していく。
大切に育て上げれば、それはため息が出るほど美しいパテイーナを見せて誇り輝く。

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私にはそのピンク色の「ヌメ革」はヴィトン氏のトランク屋としての「誠意」だと思った。ちょうどルイ・ヴイトンが「ファッション的」に流行し始めたときで商売としては塩ビのモノグラムをつくった方がよかったろうし、管理としても展示しておいただけで色が変わってしまう「ヌメ革」は扱いに神経をつかったろう。
1987年にルイ・ヴィトンが合併されて以来、案の定「ヌメ革」の一連のシリーズは消えていってしまった。








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by rhkenkyunote | 2022-09-17 22:42 | 「ヌメ革」 | Comments(0)


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